ある夏の日の名古屋UP国語塾での授業の一コマ

夏には良い想い出しかありません。ただ、もう何年も泳いでいないのが残念です。

塾長:「消火」という熟語があるだろう。今から色々な熟語を挙げるから、この熟語と構成が同じものをひとつ選んでほしい。七つ挙げるからよっく考えて答えてね。

塾長:それでは言うよ。①学習、②兄弟、③無色、④国営、⑤入学、⑥労組、⑦青葉、だ。さあ、こういう問題を解くときにどういうふうに考えればよかったかな。

生徒:ええと、上の漢字と下の漢字の関係を考えて解く、ということだと思います。「消火」は「火」を「消」すだから下の漢字が上の漢字の目的、対象になっています。

塾長:いいねえ。ご名答。下から上に返って読める、という考え方でもいいよ。問題には便宜上、番号を割り当てたけれど、どれが答えかな。順番に考えていこうか。

生徒:①の熟語は、それぞれを訓読みすると「学ぶ」「習う」だから上の漢字と下の漢字は似た意味同士ということですね。②は「兄」と「弟」だから二字の漢字は正反対の意味になるのだと思う。

塾長:そのとおりだよ。授業前の小テストを馬鹿にせず十分に復習しているね。ただ番号が進むにつれて上の漢字と下の漢字の関係が段々、難しくなっていくよ。

生徒:ええと、③は上の漢字である「無」が下の漢字である「色」を打ち消しています。④は難しいなあ。上の漢字は「国」だけど下の漢字は「営」で、これはどういう意味ですか。

塾長:「営」を訓読みできると理解できるよ。「営」は訓読みすると「いとなむ」となる。「営む」というのは物事を成立させるために仕事をしたり準備をしたりする、という意味だよ。

生徒:ふーん。そうか。そうだとしたら「国」が「営む」ということになるから上の漢字は主語で下の漢字は述語になるのですか。

塾長:そのとおりだよ。いわゆる主述の関係だね。それでは⑤はどうだろう。「入」と「学」はどういう関係だろうか。

生徒:先生、答えを言わないでよ。今、考えるから。ええと。「入」を訓読みすると「入る」だ。どこに入るのだろうか。下の漢字は「学」。「学」に「入る」とはどういうことだろう。

塾長:答えは言わないよ。ただ、ヒントを少しだけ。「学」は「学校」と考えると分かるのではないかな。

生徒:うーんと。⑤は「学校」に「入る」というふうに考えると意味がとおるね。だから下の漢字が上の漢字の目的、対象になっています。下から上に返って読めます。なるほど。⑤が答えです。

塾長:そのとおり。素晴らしい。念のために最後まで見ていこう。⑥は「ろうそ」と読み、労働組合の略だよ。⑦は下の漢字である「葉」を上の漢字である「青」が修飾しているのだよ。

塾長:ただの「葉」ではなくて「青」い「葉」だということだね。上の漢字が修飾する漢字で下の漢字が修飾される漢字という関係だね。前者を修飾語、後者を被修飾語というのだけれど覚えておいてね。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次