うまい話などない

わたしが学生だった頃の昭和に街の書店で売られていた怪しげな本です。

わたしは常々勉強に近道はない、と考えています。言い換えると、楽をして良い成果をあげることはできない、と考えているのです。

これは、わたしが頭の中で拵(こしら)えた空疎な観念ではありません。わたしが勉強して辿り着いた結論にほかなりません。わたしの経験を述べているのです。

書店に行くと勉強のやり方に関する本が所を狭し、と並べてあります。いわゆる「勉強ハウツー本」です。そういった類の本の帯には人目を惹く様々なキャッチフレーズが書かれてあります。

キャッチフレーズをまとめた文章を最大公約数的に記すならば以下のとおりです。

「最小の努力で最大の効果をあげる驚異の裏ワザ勉強法。あたなもこの本を読めば、偏差値ラクラク10以上アップ!」

このようなキャッチフレーズに乗せられて本を買うとどうなるのでしょうか。キャッチフレーズどおりに成果を上げられるのでしょうか。さような方法論が果たして存在するのでしょうか。

わたしはない、と思います。つまるところ、勉強に限らずうまい話などこの世知辛い世の中に存在しないのだ、と決めてかかるくらいでちょうどいいのです。

わたしはこう考えます。すなわち、方法論で悩むくらいであるならば、その時間に英単語のひとつでも憶えた方がよほど生産的である、と。

遮二無二(しゃにむに)勉強するのです。倦まず弛まず勉強を続ければ嫌でも成績は上がります、と書けば、なんだそんなこと常識ではないかと反論されそうです。

然り。常識が教えるところに従えばいいのです。ちょこちょこと勉強して成績を上げようなどとは虫がいい話です。立派な人物は皆、例外なく若い頃から熱心に勉強をしています。

なかには勉強するあまり狂人扱いされた偉人でさえいるのです。以前、当ブログの記事で伊藤仁斎のお弟子さんのことを記しましたが彼らなどは、まさにその典型です。

とはいえ、われわれは人に認められるために勉強するのではないはずです。人生の最期に自分の人生に悔いはなかった、と言えればいいのです。また、そう言えなくてはなりません。

繰り返します。勉強に近道などないのです。そんなに方法論が気になるのであれば、それは信頼できる塾に任せてしまえばいいです。生徒諸君には安心して勉強に専念していただきたいです。

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