なぜ
何故こんな目に遭わねばならぬのか
なぜこんなめにあわねばならぬのか
何の為に
なんのために(中略)
ただ思っている
出典『原爆詩集』・峠三吉
あなたたちはおもっている
今朝がたまでの父を母を弟を妹を
(いま逢ったってたれがあなたとしりえよう)
そして眠り起きごはんをたべた家のことを
(一瞬に垣根の花はちぎれいまは灰の跡さえわからない)
この詩はロシアのウクライナ侵攻に憤(いきどお)った詩人が記したものではありません。終戦間近の広島で原爆が投下された直後の惨状を詩の形式にして世に訴えたものです。
上の文は峠三吉の「仮繃帯所(かりほうたいじょ)にて」という詩の一部です。詩人は、すでに亡くなっています。
これでは同じではないですか。今のウクライナは第二次世界大戦のときの日本の惨状と全く同じではないですか。人類はいささかも懲(こ)りていません。歴史から全く学んでいません。
悪いことに「歴史は繰り返す」のです。なぜ歴史は繰り返すのでしょうか。なぜ悲劇は終わらないのでしょうか。なぜ多くの人々が平和を願うのにもかかわらず戦争が勃発(ぼっぱつ)するのでしょうか。
いとけない我が子が病院に搬送されるも助からず若い母親が泣き叫ぶ姿を捉(とら)えた映像をYouTubeで見ました。正視するに耐えられません。現世における地獄です。
子供たちは曇りのない瞳で大人たちの醜い争いをじっと見つめています。その澄んだ瞳で大人が傷つけ合い、殺し合うさまを見つめています。 つづく