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わたしが受験生だった昭和の昔、町の書店でふと、ある本が目に留まった。それは大陸書房という出版社から出ていた怪しげな勉強法の本であった。
昨晩そのような本もあったな、と突然、思い出した。そして大陸書房という出版社名は憶えていたのでメルカリのサイトで「大陸書房 受験」という単語で検索してみた。
すると『スーパー受験術』という本が一冊ヒットした。本の装丁についての記憶は曖昧であったがサブタイトルの「驚異のスイッチフルバック学習法」でピンときた。
たしかに、わたしが受験生の頃に買って読んだ怪しげな勉強法の本だ。それでは昭和の時代に売られていた本が提唱する「スイッチフルバック学習法」とは何か。
それは「一日5ページの目標を設定したら、第一日目に1~5ページをやり、第二日目には6ページ目からでなく、また1ページ目から始めて10ページ目までやる」という勉強法だ。
さような方法で三日、四日、五日と勉強を繰り返すことにより忘れることなく知識が完璧に定着する、というのが著者小谷一氏の提唱する学習法だ。
結論を記そう。小谷氏の唱える学習法は実行できない。わたしは意志は弱くない方であるが、この勉強法に挑戦してすぐに挫折した。わたしが身を以て経験しているのだ。
一歩譲って、この学習法を実行できる受験生がいるとしたら小谷氏のくだんの方法論を使うまでもなく難関校に合格できるはずだ。そもそもこの本を買うこともあるまい。
結局うまい話はないのだ。古くは中国の官吏登用試験であった科挙から今の日本の大学入試あるいは公務員試験、資格試験まで様々な攻略法が生まれては消えていった。
すでに何世紀も前に「学問に王道なし」と、いにしえの賢者が喝破(かっぱ)しているのだ。こういう常識を蔑(ないがし)ろにして少なくない人が痛い目に遭っている。
優れた方法論を以て楽をして大きな成果を出そう、と考える人は今も昔もいた。しかし倦まず怠らず励み努めることこそが肝要であると本居宣長も記している。常識のとおりだ。
勉強法に不安を覚えているなら現在、通っている塾の講師にぜひ訊(たず)ねてみるといい。塾の講師は必ず親切に相談に乗るであろう。
何となれば通っている塾生の進学先が塾の実績になるので塾にとっては死活問題であるからだ。少なくともわたしの塾は塾生、保護者各位の相談、質問は大歓迎だ。
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