描写
わたしの書く記事には描写が全く足りないということが明確に判りました。芦永奈雄著『「本当の学力」は作文で劇的に伸びる』(大和出版刊)という本を読んで気づかされたのです。
一口に描写と言ってもぴんとこない読者もいらっしゃるかも知れませんね。あるいは描写をご存知の読者でもその効果を知らない方もいらっしゃるかも知れません。
例えば読者諸賢は「とても悲しかった」と書かれた言葉を読んで、この言葉が胸に迫ってきますか。
抽象的すぎて全然、書き手の悲しい気持ちが伝わってきませんね。これを描写を使って書き換えます。以下に同書から一部、引用します。
涙がとまらなかった。拳を握りしめ、歯を食いしばり、壁に何度も何度も頭をぶつけて泣いた。
出典:芦永奈雄著『「本当の学力」は作文で劇的に伸びる』(大和出版刊)
ここで注目するべきは「悲しみ」を表すのに「悲しい」という言葉を一語も使っていないということです。
けれども、それにもかかわらず読み手にとつては描写を使って書いた文章のほうが「悲しい」気持ちがよく伝わってきたのではないでしょうか。
このように使い方を誤らなければ描写は実に雄弁に書き手の気持ちを表現することができます。
こういう描写の効果はわたしも薄々気づいていましたが、よほど意識しないと、どうしても描写が足りなくなってしまうのです。わたしも書いてみることにします。
「空を見上げると目に染みるようなプルシアンブルーのぐるりに白い入道雲が散在する。遠くで喧しく鳴いている蝉の声が、わたしの耳朶に心地よく触れてくる」
夏のよく晴れた空の視覚的なイメージが一応、伝わったのではないでしょうか。しかし、わたしは普通このような描写はあまり使いません。
描写は、わたしの記事では例外的な表現になります。しかし、今後はもっともっと記事のなかに描写を取り入れてゆきたいと思っています。