読書の秋であり勉学の秋でもある~生徒諸君、今日だけ頑張れ~
昨日からミルトンが著した英文学の最高峰のひとつに数えられる『失楽園』を岩波文庫で読み始めている。以前から名著の誉れが高い作品と聞いていたが読む機会がなかったのだ。
地獄と悪魔の存在を本当に信じているわたしにはイギリス文学の古典ともいえる『失楽園』に描かれている悪魔や天使についての深い考察にはなるほど、と唸らされた。
『失楽園』はキリスト教文学の代表作のひとつとも言われる。キリスト者には、すこぶる興味深い本だ。聖書を読んでいると西洋の古典をよく理解できる。
ダンテの『神曲』もそうだし、バンヤンの『天路歴程』もそうであり、もちろんミルトンの『失楽園』もそうである。
一方、国内に目を向ければ三浦綾子の『塩狩峠』や遠藤周作の『沈黙』あるいは太宰治の『駆込み訴え』なども聖書に親しんでいると十二分に愉しめる。
まだ残暑はつづくが季節は秋である。「読書の秋」に読者諸賢はどのような本を読まれるだろうか。わたしはこの秋に『失楽園』の上下巻を読了するつもりだ。
生徒諸君には志望校に受かるためのいわゆる受験勉強を先ずしてほしい。しかしながら、真の知性を育むために読書にも挑戦してほしい、というのは欲張りな注文だろうか。
思うに読書は受験の成功とは無関係である。そうであってなお、本を読んでほしい。小中学生も悩みを抱えている。たくさん悩みながら青春という過酷なトンネルを無事に通り抜けてほしい。
映画の「ハリーポッター」で主演した子役は億万長者になったというがアルコール依存症にもなってしまった、という。誰もが羨(うらや)む映画スターでもその心の内は分からない。
人生の途上で苦しくて、辛くて、悲しくて、寂しさを禁じ得ないときには古典に訊(たず)ねよ、酒に溺れるな、とわたしは声を大にして若い人たちに言いたい。
先に「読書の秋」と記したが秋は「勉強の秋」でもある。過ごしやすいこの時季におおいに勉強すべきである。生徒諸君、今日だけ頑張れ。今日頑張った者にのみ明日は来るのだ。
今朝も早朝自習会を行った。今日は祝日なので二時間、自習してもらった。わたしが昨晩ご家庭に提案をしたのだ。そして自習を監督するあいだにこの記事の骨子はできあがっていた。