難しい言葉が出てきても前後の文章から推理すれば分かるはずだ

「語彙力」に神経質になる前に、もっと「思考力」を働かせるようにしましょう。

「やはり語彙力がないといけないのでしょうか」と授業後にお母さまが独り言のようにつぶやきました。わたしは以下に記すことを端折ることなく話してあげたかったです。

国語の試験で難しい言葉が出てきても前後の文章から推理すればいいのです。大学受験の勉強で英語の文章を読んでいたときのことを思い出してみてください。       

小学生の場合、概して、そもそも本を読む経験は少ないと思われます。語彙力が乏しいのは皆、同じなのです。

果たして学校側は語彙力が豊富な受験生を求めているのでしょうか。語彙力よりも文脈から推理できる柔軟な頭の持ち主を求めているのではありますまいか。

中学受験の国語では初見の問題を前にして自分なりに工夫して考えられるか否かが試されているのだと思います。いわゆる現場思考です。

まだ人生経験の浅い小学生に語彙力を求める、というのは考えにくいと思うのです。もちろん基本的な慣用句、ことわざ、四字熟語などは覚えておく必要があります。

しかしながら難しい言葉も覚えなければ、と焦る必要はありません。誤解を恐れずに申しますと難しい言葉は無理をして覚える必要はないと思います。

少ない知識でも基本的な考え方を基(もと)に、それを応用して問題を解くことができる受験生を学校側は求めている、とわたしは考えます。

なぜそう言えるのか。それは、もうだいぶ前から日本の試験の王様たる司法試験で暗記型の試験から思考型の試験にシフトしている事実があるからです。

したがって中学入試も試験の王様の影響を受けて現場で少ない知識を頼りに柔軟に頭を使って問題を短時間で処理する、という試験に変わっているように思います。

池に斧を落とした樵(きこり)の童話がありますね。その童話で喩えるなら「語彙力」を取るか「思考力」を取るかを迫られたら受験生は迷わず「思考力」を取るべきです。

わたしは受験生が夏休み目前の今するべき国語の勉強は「語彙力」を磨く勉強ではなく「思考力」を鍛える勉強であるべきだと考えます。

なお、以上に述べたことは高校受験を前にした中学生の受験生にも当てはまることを付記しておきます。

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