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■生活問題の核心は「就職問題」である
生活問題というのは煎じ詰めれば就職問題である。したがって理の当然として職に就くことができなければ生活が立ち行かなくなる。
そこで、彼、彼女らは「日雇い派遣」で仕事をする、という選択を余儀なくされる。だが本当は誰であれ「日雇い派遣」なぞでは働きたいはずはない。
これには異論はないだろう。各人が自らの想像力を働かせば答えは自ずと明らかになる。読者諸賢に問う。あなたは「日雇い派遣」で働きたいか、と。
彼らの足許を見て、あるいは彼女らの窮状につけ込み社会の底辺で呻吟(しんぎん)している「ネットカフェ難民」から搾取(さくしゅ)するビジネスを本書は「貧困ビジネス」として紹介している。
■貧困ビジネスの悪辣な実態
「貧困ビジネス」の実態は悪辣(あくらつ)で非道い。地獄の鬼もかくや、というほどに非道い。わたしは、これほどまでの悪事をどう形容していいか分からない。
あろうことか「日雇い派遣」の派遣会社のほとんどは劣悪な条件下で自らを叱咤(しった)し気持を奮い立たせて真摯に働いている貧困者の少ない給与のうちから法外なピンハネを行っていたのだ。
■日雇い派遣業界の不正と責任
この問題については、すでにテレビなどのマス・メディアで報じられているので、ご存知の読者もいることであろう。
「日雇い派遣」業界最大手のグッドウィル・グループの不正が次々に明るみに出る等して遂に涙を流しながら釈明した折口会長をはじめ「日雇い派遣」会社の経営トップの責任は極めて重い。
ここで、わたしはかつて読んだ宮崎学が著した『突破者(下)』(幻冬舎アウトロー文庫)の文章を想起し、胸中で反芻(はんすう)していた。引用してみよう。以下のとおりである。
■宮崎学の言葉が示す“底辺への寄生”の構造
《どういうわけか、子供の頃から高利貸しの類にむかついて仕方がなかった。奴らは底辺の人間に寄生して生きている。高利貸しをめぐる陰惨な人間模様をずいぶん見てきた。
世間が所詮は弱肉強食の世界とわかりながらも、高利貸しになるにはそれなりの必然があるのを知りながらも、また連中は欲得に正直なだけなのだと承知しながらも、高利貸しだけは許せないという思いがあった。》
以上に記した文章の「高利貸し」の箇所を「貧困ビジネス」に置き換えても全く違和感を覚えないのは一人わたしだけであろうか。
ちなみに上記の本を著した宮崎はヤクザの組長の子として生まれ、自らも裏社会で暗躍した経験を持つ生粋(きっすい)の極道である。そして実は彼は早稲田大学を中退している。
■貧困問題は個人ではなく“社会構造”の問題である
それはともかく、不安定な人生を生きることを余儀なくされている「ネットカフェ難民」が一人でも減ることを瞑目(めいもく)し手を合わせて祈りたい心境である。
かような貧困問題は、つまるところシステムの問題である。もう少し大仰に述べるならば、社会構造の問題なのだ。
■感情論を超えて、わたしたちは何をすべきか
グッドウィルの折口は貧困者から搾取した金で自家用ジェット機を所有して乗り回し実にけしからんではないか、という感情論にとどまるだけでは発展がない。
今さら革命を、などとカビ臭い不穏当な主張をするつもりはないが徹底的な改革が早急に必要だ。そのために他でもないあなたは具体的にどういう行動をとるかを本書は問うている。(了)

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