時代精神に抗う

スマホはとても便利だそうだが一方で依存症の人もいるというのは何とも皮肉なことだ。

わたしは今までの人生で一度もスマートフォン(以下、スマホと記す)を所有したことがありません。今に至るまでガラパゴス携帯(以下、ガラケーと記す)を使っています。

会社は大手キャリアのソフトバンクです。当初の予定では、ソフトバンクの3Gサービスは今月一杯で終了するはずでした。それゆえ早く機種変更をしろ、という郵便が何度も手許に届いていました。

そういう次第で、わたしもいろいろ考えました。昨今、ガラケーを使っている酔狂な人など、なかなか見かけません。そうであるならばスマホに無料交換してもらってもいいのではないか、と何回か思いました。

スマホが便利だということは年末に帰省したときに弟たちも異口同音(いくどうおん)に語っていました。道徳的、倫理的に責められる、ということにもならない。

むしろ、これだけ便利な文明の利器を使わないほうがどうかしている、という時代の風潮があります。「皆、使っているよ」と、いわゆる時代精神は囁(ささや)きます。

わたしも随分、心を揺さぶられました。けれども、どうしてもスマホという現代の迷夢、時代の申し子、文明の利器を使いたくない。しかしながら、あればあったで、さぞかし便利だろうな、と抗しがたい誘惑に負けそうになったこともありました。

いっそのことスマホに機種変更しようか、と。しかも機種変更は無料なのです。ここ数日あれこれ考えあぐねていると今日、一通のメールが届きました。ソフトバンクからでした。文面を要約すると能登半島地震による影響で3Gサービスを4月15日まで延長する、ということでした。

我慢してよかった。心より、そう思いました。当然のことながら今のガラケーを4月15日まで使うつもりです。春になるまで時代精神の権化であるスマホを持つか否か、という問題の決着に猶予が与えられました。

いわゆる期限の利益が与えられたのです。嬉しかったです。しかしながら4G/5Gサービスへの移行が延期されたのは能登半島地震による影響である、ということを考えると単純に喜んでばかりもいられません。

被災された能登半島の方々には心よりお見舞い申し上げます。特に今回、3Gサービスの終了が延期された背景には能登半島を中心に被災された高齢の方々への配慮もある、と考えます。被災された高齢者の方々に衷心よりお見舞い申し上げます。

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