すごい!読書感想文教室(中学受験)
夏休みの宿題として恒例の読書感想文に悩まされているお子様は少なくないはず。他塾のホームページで見つけた「すごい!読書感想文教室」。キャッチコピーは「読書感想文が3時間で書ける」です。
なんでも《作文嫌いの子どもたちを3時間で読書感想文が書ける実体験で、作文嫌いを解消し、自信を覚醒させる》講座だそうで《作文嫌いの子どもでも作文で賞をとる子が続出》した講座なのだそうです。
わたしが愛読している丸谷才一が著した『桜もさよならも日本語』(新潮社刊)には以下のように記されています。原文の仮名遣いのまま引用いたします。改行は引用者。
読書感想文を書けと強制してはならない。本を読むことをすすめ、あとはただ学校図書館におもしろい本をたくさん用意して置けばいい。わたしはさう思ふ。
たとへ話でゆかう。男の子が十八人ゐるとき、これから二つのチームで野球をしようと提案すれば、みんな大喜びするはずだ。
しかし、試合の経過をあとでめいめいが作文に書くといふ義務を付け加へれば、一人残らずゲンナリするにちがひない。
読後感を書かせるのはこれとまつたく同じことで、読書から喜びを奪ふ。ところが彼らにまづ教へなければならないのは、快楽としての読書なのである。
(中略)読書感想文といふのは一種の書評である。そして書評がどんなにむづかしいかは、海千山千の文筆業者がさんざん苦労して、なかなかうまく書けないのを見てもわかる。
出典:丸谷才一著『桜もさよならも日本語』(新潮社刊)
わたしも丸谷の意見に賛成です。それだけに読書感想文がたったの3時間で書けるものか、と思うのですが、それとともに、どんな工夫をすれば、さような魔法のような講座を作ることができたのか、という強い興味も持っています。
眉(まゆ)に唾(つば)しつつも、くだんの講座を受講してみたい、とさえ考えております。国語専門塾にとって採り入れても面白いスポット講座かも知れません。
当塾では今のところ開催するつもりはありませんが読み手の皆さんにとっては面白そうな講座だと思いますので夏になる随分前ではありますが本記事で、ご紹介いたしました。
追記:くだんの講座の開発者の動画を貼り付けておきました。興味のある方はご覧ください。全七話あるそうです。貼り付けておいた動画は最初のガイダンスです。