校門配布
一昨日(おととい)の午後、当塾のチラシの校門前配布に行ってきました。某小学校の正門の前で配りました。業界用語で「校門配布」あるいは、もっと縮めて「門配」と言ったりします。
午後2時に住まいを出る予定でしたが外に出ると結構な雨脚(あまあし)の雨です。いったん部屋に戻りましたが降ったり止んだり、はっきりしない天気です。
午後3時前に雨は止みました。パソコンでヤフーの天気予報を確認すると、これからも降らない、という予報だったので思い切って傘を持たずに校門配布に行くことを決意しましたが、これが大誤算でした。
バッグにチラシを入れて小学校まで歩いて行きました。歩いてみると思いのほか小学校が近い距離にあることが判りました。小学校の至近距離に某フランチャイズ塾があることも判りました。
正門の前で小学生が出てくるのを待ちました。そうしたところ雨が降ってきました。悪いことに雨脚も強くなってきました。ヤフーの天気予報は何だったのか。これでは、ずぶ濡れのお馬鹿さんです。
このままチラシ配布を続行するのかしないのか逡巡(しゅんじゅん)していたところ不意に眼前に傘が差し出されました。「どうぞ使ってください」と子供を迎えに来ていたお母さんが渡してくれたのです。
さらにティッシュペーパーで「濡れた服を拭いてください」と何枚か渡されたので、さすがに恐縮してしまい、さりとて上手なお礼の言葉も言えず木偶(でく)の坊のようにその場に立っていました。
胸がいっぱいになりました。読者諸賢よ、これが教育ではありますまいか。そのお母さんは男の子を迎えに来ていて車のなかで男の子はその様子を見ていたはずです。
男の子は、お母さんの親切をつぶさに見て、きっと将来、困っている人をお母さんが助けたように助けてあげられる人物に育つのではないでしょうか。
知らぬふりをして車に乗って小学校を辞しても誰も咎(とが)める者はいないでしょう。わたしも、まさか見ず知らずの人からそのような親切を受けるなどとは夢にも思いませんでした。
このお母さんの親切だけでお腹いっぱいでした。温かい気持ちになりました。わたしは親切に感動してチラシ配布のことまで頭がまわらず、そのお母さんにチラシを渡しそびれてしまいました。
こういうお母さんの子供さんに当塾に来てほしいのです。当塾を立ち上げて初めての、いわゆる校門配布でしたが、いい勉強になりました。