現代の鰯の頭
わたしは当ブログの記事で現代は昔と変わらない、と記しましたが、もう少し核心に迫った誤解の少ない言い方をすればこうです。
すなわち、現代も昔もこの世で生きている人間の本質に変わりはない、と申したいのであります。
いにしえを生きた古人の肉体には眼があり、鼻もありました。手もあり、足もあった。まさかさような点に異論はありますまい。
肉体的な構造に変わりがなければ精神的な構造にも変わりがない、と論を進めることに無理はないでしょう。
単純な言い方をすれば人間は古今東西、肉体的にも精神的にもその本質は究極的に申しますと変わりはなかった、ということです。単純ですが真実です。単純だから嘘である、とは言えますまい。
現代人は皆、進化論に惑わされているのであります。老若男女を問わず誰も彼も皆、してやられています。
猿から段々と進化して人間に至った、という科学的に(「科学的に」ですよ)根拠がない仮説を盲目的に信じ込んでいることが間違いのはじまりなのであります。
その論理でいけば我々は進化して数十万年後の将来には、あの発狂したいにしえの哲学者が提唱したいわゆるスーパーマン(超人)になる可能性がある、ということができます。
このようなことを言うと可笑しいでしょう。わたしも確たる論拠のない思いつきにすぎぬ、と思います。
けれども、このように滑稽(こっけい)な仮説を学問的に裏付けられた真実である、と現代人は盲信しているのであります。現代の鰯(いわし)の頭というほかない。
さような学説を信じているから昔の人は今ほど教育がなくて野蛮だった、などと古人を見下すのです。昔の人は愚かだったので戦争が勃発したのだ、とか思い込むのです。
決して、そのようなことはありません。われわれは現代の色眼鏡をかけて昔を見るので誤るのです。
それでは、われわれはどうすればいいのでしょうか。難しく考える必要はありません。ただひたすら素直な態度で過去から学べばいいのです。虚心坦懐に歴史を勉強すればいいのです。