初志貫徹
以前に当ブログの記事で簡単に触れた神山昌子氏の著書『苦節23年、夢の弁護士になりました』(いそっぷ社)を改めてご紹介したい、と思います。
神山氏の本は昔ヤフオクで購入しました。三時間くらいで読み了えました。実に面白い。筆者は37歳から司法試験を受け始めて59歳で最終合格しています。
その間に色々なことがあります。しかも、その一つ一つが事実なのです。思うに、そこが同書の読みどころのひとつでしょう。
弁護士として働き出すのは還暦を過ぎた61歳からです。本の題名にもあるとおり23回、司法試験を受け続けて、ようやく夢が叶ったのです。
換言すれば自分の生涯の大半を司法試験に費やして初志貫徹(しょしかんてつ)したのであります。
昔、わたしがまだ両親がいる田舎に住んでいた頃、床屋で散髪してもらっていたら、こんな話を聞きました。
すなはち、市内の某進学校を卒業した受験生が東大理Ⅲを11回、受験して、ようやく合格し、晴れて入学できた、という話でした。
わたしはその話を聞いたときは、そんな人もいるのか、と驚きましたが神山氏の場合は、ほぼ、その倍の時日(じじつ)がかかっています。
両者について共通するのは、その並々ならぬ執念です。決して諦めなかった。合格するまで気持ちが折れなかった。すこぶる強靭(きょうじん)な精神力の持ち主だとわたしは思います。
しかも神山氏の場合は専業受験生ではありませんでした。彼女は若い頃に離婚してシングル・マザーとなっていたので働いて子供を養いながら勉強を続けたのです。
子育てをし、自分の母親の晩年には介護もしているのです。働きつつ家事も介護もこなしながら、あくまでも自分の夢にこだわり、とうとう23回目の挑戦で栄冠を手に入れます。
何というヴァイタリティだろう!そういう話が面白くないはずはないのであります。読者の皆さんにも、ご一読をお勧めいたします。