友情を取り戻せ

画像は東京下町の銭湯のイメージです。長いこと雨に降られた後の銭湯は格別でした。

昨日、夢を見ました。大学時代の親友が登場してくる夢でした。今その親友とは、わたしの愚かさのゆえに長い間つづいた友情に亀裂が入り、交流が途絶えてしまっています。

大学時代、その親友とは「人生とは何ぞや」とか「人はいかに生きるべきか」とか「そもそも宗教とは何か」などを夜を徹して語り合った仲でした。

大学生の頃はむろん大学を卒業して社会人になってからも携帯メールなどで頻繁にやり取りをしていました。二十年以上の付き合いでした。

わたしが卒業した大学は東京にあり、卒業してからは愛知県の実家に戻りました。一方、彼は大学の近くに残り、夢を追って毎日を暮らしていました。

秋のある日、親友の下宿を125ccのバイクで訪ねたことがあります。途中、激しい雨に打たれてしまい親友の下宿に到着したときには、ずぶ濡れになってしまいました。

バイクを親友宅の前にとめて降りると、ほどなくして二階にいた彼が階下に下りてきて部屋に上がるように促してくれました。

しかし、わたしは、それに同意せず、とにかく風呂に行かせてくれと頼みました。親友は気を利かせて手早く風呂に行く支度をととのえてくれました。

彼は風呂に行く支度をととのえてくれたばかりか銭湯の無料チケットを渡してくれました。早速、銭湯に行き、濡れた衣類を脱いで急いで湯船に浸かりました。

これが、すこぶる気持ちがいいのです。この銭湯は江戸っ子が利用するだけあって、とにかく熱くて普段なら五分と入っていられないほどの熱さです。

ところが、この日は身体が芯から冷えていたのかむしろ、いつもなら熱過ぎる浴槽の湯加減が非常に心地よく感じられたのです。

この日ばかりは高過ぎる温度設定がとてもありがたかったです。随分、長い間、湯船に身体を埋(うず)めていました。

まさに滝に打たれる修行僧さながらに長い間、雨の降るなかを疾駆(しっく)してきた者にこそ実感できる至福のひとときでした。銭湯は親友の居のすぐ近くにありました。

つづく

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