友情を取り戻せ(3)
日付が変わっても、まだ語り続けていました。いつとは知れず横になって、わたしはその日の正午頃まで眠っていました。
起きてから髭(ひげ)も剃らずに、また議論して気づけば時刻は夕方の五時近くになっていました。
帰る時間が迫っていましたので急いで親友宅を辞し、スクーターに乗って帰路に就きました。明治通りを走り渋谷までは、すんなり行けました。
問題は、そこから先でした。迷ってしまったのです。親友宅で迷わないように繰り返し丁寧に説明をしてもらったのですが上の空だったようです。
こういうところです。わたしは親友に甘えすぎていたのかも知れません。いつでもありのままを受け入れてくれるだろうと高を括っていたのかも知れません。
彼には大きな目標がありました。前の記事で彼は夢を追いかけつつ毎日を暮らしている、と記しましたが彼は当時、大願成就のその時までストイックな努力が求められる一日一日だったはずです。
さような彼に頻繁に連絡を取っていたのです。それも仕事の愚痴が多かったように思います。親友なのにあまりにも自分の都合を押しつけていました。
やがて毎年、元旦に届いていた年賀状も来なくなり。メールでのやり取りもなくなりました。すべてわたしの愚かさのゆえであります。
情けないことに今、親友がどういうふうに毎日を暮らしているか分かりません。大願成就はできたのか。それともとうの昔に夢を諦めて郷里に帰ったのか。
今度、手紙を認(したた)めて彼に送ろうと思っています。手紙を送っても奏功しないかも知れない。そもそも住所が変わっていて手紙が届かないかも知れない。
それでも送ってみなければ分かりません。手紙を書くことをやめることの理由にはなりません。何事も挑戦しなくては成果は出ません。
いつかこのブログで読者諸賢に朗報を聞かせられるように工夫と努力をしてみます。そうです。記事の題名にもあるとおり彼との友情を取り戻すべく一歩、前に踏み出してみます。
読者諸賢も古くからの友人を大切にしてください。愚かにも人は失ってみて初めて自分の至らなさや親友のありがたみが身に染みて分かるのです。
おわり