読書は中学受験や高校受験対策として有効か

われわれは何人たりといえども生涯にわたり本と付き合っていかねばならないのです。

わたしは本を読むことを入学試験に受かるために有利になる、という視点だけで語るのは教育者として卑しい態度である、と思います。

試験のための読書が愉しいはずはないのです。そして読書と受験成功の因果関係がさほど明確でないと考えるならば、むしろ試験のための読書はする必要はない、とわたしは考えます。

読書はまず自分の興味や関心のある本を読むことだと思います。興味関心がある本を足がかりにして読書の範囲を拡げていくというのが、これまでのわたしの本の読み方でした。

興味や関心のない本を受験の役に立つから、と勧められて、しぶしぶ読んでも本が嫌いになるだけです。

お子さまには、まず快楽としての読書を経験させるべきです。本を読むことは愉しい、という経験ですね。

したがって中学受験や高校受験と読書は関係がない、と考えるのが害の少ない考え方だと思います。それを承知の上で読書するというなら結構なことだと思います。

さらに述べますと読む本はお子さまが身銭を切って購入することが肝要かと思います。経済的な余裕が少しでもあるならば借りて読むより購入して読むことをお勧めします。

その理由は別の記事で詳述してあります。興味のある読者諸賢は、こちらをご参照ください。

かく言うわたしは小学生の頃、本が買いたくて、買いたくて仕方がありませんでした。けれども、お小遣いが雀の涙ほどでしたから泣く泣く買うのを諦めていました。

読者諸賢よ、さような衝動がお子さまにありますか。わたしが子供の頃、読書に対する燃えるような欲求があったことを思い出します。

最初はマンガでも結構だと思います。わたしは壮年の今でもマンガを読みます。もちろん、マンガ以外の本も読み、当ブログに散発的に書評を書いています。

疾風怒濤の青春時代には様々な悩みがあると思います。悩みのない青少年などいません。そのとき、われわれの先輩たちはどう対処したかを本に訊(たず)ねるのです。

さような多感で悩み多き時代に本に頼ることができなかったら、さぞかし辛いことと思います。それゆえに今からお子さまを本嫌いにしないように十分、気をつけなければなりません。

繰り返します。たかだか受験のために、あたら、お子さまを本嫌いにさせるべきではありません。本とは一生、付き合っていかなくてはならないからです。

受験生の読書は勉強の合間の息抜き、という位置づけで丁度いいと思います。わたしも中高生の頃、勉強に疲れたら文学書や信仰書を読み耽(ふけ)っていました。

よくある「受験のために読書は有効か否か」という命題はそもそも命題の立て方が間違っている、というのがわたしの意見です。

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