読めて、書けて、受かる中学受験専門国語塾。
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我が塾に小学4年生から通ってくれている生徒がいる。授業の時、兄が難易度が高い中高一貫校に通っていることを同級生に言って失敗した経験を話してくれた。
昨日は模試の復習を済まして『予習シリーズ』の問題を解いていた。その際、こういう問題があった。それは「あなたは自分や相手にそのつもりがないのに誰かを傷つけたり、傷つけられたりしたことがありますか。どのようなことがあり、どのような気持ちになったのかについて説明しなさい」という問題であった。その際、塾生は過去の苦い経験を話してくれた。
塾生はどういう失敗をして相手を傷つけたのか。それはこういうことだった。塾生の兄は東海地方では名前を知られていて錚々たる大学に卒業生を輩出している学校に在籍していた。
一方で塾生の同級生の兄も有名中学に入学を果たしていた。だが、その学校は塾生の兄の学校よりは偏差値という観点からすると格が落ちる学校であった。
そして相手の兄の第一志望校は塾生の兄が通っている学校で、同級生の兄は残念ながら入学を果たせなかったとのことで、弟である同級生は傷ついたそうだ。塾生は後になってそういう事情に気がついたと語っていた。
随分、回りくどい書き方になったが塾生とその同級生の個人情報に配慮して書いたので、ご容赦願いたい。欧米では話題に宗教や政治の話を選ぶことを忌避する文化があることはよく知られている。一方、日本で避けなければならない話題は学歴のことだ、とわたしは思う。
皆、学歴には敏感でナーバスである。したがって、わたしが思うに身内が高学歴であってもそれを口にすることを控える、というのは人生の智恵である。ついでに書くと興味本位で人の学歴について尋ねるのも慎むべきだ。
わたしも学歴については苦い思い出がある。昔、法事で田舎の家で親族が集まり食事をしていた時があった。わたしは隣席に座っていた従姉妹が通っていた専門学校について言及した。
その専門学校は、わたしが通っていた大学の近くにあったから何気なく話題にしたのだが結果、従姉妹の機嫌を非道く損ねてしまった。もしかしたら従姉妹は大学に行きたかったのかも知れない。わたしは思った。今後学歴を話題にとりあげることは絶対に止めよう、と。
そういう次第で前出の塾生には「兄の学校の名前は人に言わない方がいいよ」と助言しておいた。さらに「学校名はたとえ訊かれてもお茶を濁した方がいいよ」と駄目押ししておいた。然り、西洋の賢人が書いていた。「人に妬まれたくなければ馬鹿なお洒落は止めたまえ」と。
父が言っていた。自分の思っていることをそのまま喋ってはいけない、と。トランプをするとき手札を相手に見せる愚かな人がいるだろうか。自分の思うままを話して手の内を明かしては駄目なのだ。わたしが思うに無駄なお喋りから諍いが出来(しゅったい)するのだ。
むろん自分の信念をとおす時にはときにトラブルも辞さない覚悟が求められる、とわたしは思う。けれども自分の愚かさによって生じる災厄はできるだけ避けるべきだ。信念を持っていてなおかつ平和であればそれに越したことはないだろう。
わたしが大学生の頃、アルバイトで自動車の助手席に乗っていた。皆、大学生が同乗していた。そのとき運転手がわたしの大学名を尋ねてきた。
わたしは大学生の頃には無闇に自分の大学名を明かすことは賢明でないと知っていた。それゆえ、はぐらかしたり、お茶を濁したり、していた。
だが、あまりにも執拗に訊いてきたので遂に大学名を告げたが運転手はしてやったりという顔をして自分の大学名は言わず、にやにや笑っていた。
わたしは人に訊かれて恥ずかしい大学を卒業しているわけではない。しかし、そうであってなお、悔しかった。その質問を憎んだ。
わたしは自分が決めたことを貫くことの難しさを思い知った。読者諸賢よ、この記事を読んだからには、お子さまが高い学歴を手に入れるために努力することを促しながらも努力して遂に高い学歴を手に入れたら自慢しないように気をつけようではないか。
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