K塾への憧憬、そして我が塾のホームページ

K塾のホームページが、つまらなくなった。以前は少なくとも今よりは魅力的なホームページだった。わたしが塾を立ち上げた頃はいつかはK塾のようなホームページを制作できたら、と羨望の気持ちを持っていた。

トップページの映像がすこぶる魅力的であった。生き生きとした授業の様子が動画になっていた。生徒たちの哄笑が聞こえてくるようだった。一方で教師は情熱を持って教えているように感じられた。ひとつの教育的な映像作品と評してもいいくらいだった。

我が塾のホームページのトップページが動画になっている理由のひとつにK塾の動画が影響していることをここで告白しておく。さように魅力的だったホームページだが最近、トップが切り替え画像に変わっていた。

昨今のコンプライアンスの影響だろうか。あるいは肖像権の問題で動画をホームページに据えるのを断念したのだろうか。動画から画像に切り替えたのはK塾の事情があるのだろう。けれどもホームページを見る限り昔の攻めた表現から現在は無難な表現に変わったように思われる。

それは綺麗に言えば、塾として安定のフェーズに入った、と言えるのかも知れない。K塾はわたしの地元にある大手塾だ。一見すると我が塾のように名古屋にある個人塾とは無関係に思えるが、そうではない。K塾とわたしは因縁浅からぬ関係なのだ。

実は若い頃にK塾の入社試験を受けて落とされたことがあったのだ。K塾に勤めている講師はハイレベルだった。わたしなど教える技術が未熟な講師は木で鼻を括るような対応をされて、はい、ご苦労さんだ。実力主義の塾業界の中でもK塾は徹底していた。

くだんの塾に京都大学を卒業した講師もいたことは象徴的だ。むろん学歴が高ければ必ず講師として優秀であるとは言えない。それならわたしも早稲田大学を卒業している。さすがに国立の名門大学ではない。けれども私立の有名大学とは言い得るのではないか。

学歴が高いと実力も高い可能性がある、と記せば正確な言い方にはなるのだろう。わたしはK塾に入る代わりに何度も転職を繰り返し、外国人と一緒に肉体労働で汗を流して現在、塾を経営するに至っている。今に至るまでわたしも色々あったがK塾にも色々あったのだろう。

話を戻す。K塾のホームページについて、だ。そこには以前の輝いていた最盛期のK塾を認めることは難しかった。ただ、現在も地元でK塾は大手の塾として隠然たる力を持っていることは付け加えておく。

一方、我が塾のホームページは良い言い方をすれば至極ユニークだ。口の悪い人だと異端だと言うかも知れない。ただし、唯一無二のホームページになったと記して差し支えないと自負している。

ホームページ制作は奥深い。そして塾のホームページならなおさらだ。多くの工程を踏むことが必要になる。まず、生徒の保護者に撮影許可を取ることが大前提になる。許可してもらうと、さらにどういうアングルで撮影するか、撮影した画像なり動画なりをどう組み合わせていくか、つまり構成を考える必要がある。

こういうことは一年や二年の歳月ではできない。気の遠くなるような試行錯誤を重ねて、ようやく自分の納得のいくホームページになる。だが、それで終わりではない。塾を続けるなら日々、手を加えて更新していかねばならない。我が塾は個人塾なので、これを塾長ひとりで行わねばならない。

実は今朝方、我が塾のホームページのトップ映像に新しい動画を挿入した。今は夏だから半袖の服を着た教師や生徒あるいは扇風機などをひとつの動画に拵えて編集したのだ。その際の動画を保護者の方に撮影してもらった。それが嬉しかった。いいアングルで撮影してもらえた。

我が塾のホームページのトップ映像は白黒だ。初めはカラーだったが勝新太郎の『座頭市』を動画サイトで視聴していたときに不意に着想が降ってきた。天からの啓示のようなものだったと記すと大仰か。塾のホームページのトップを白黒にしてみるのも面白いのではないか、と。

わたしはこれだ、と思った。トップ映像を白黒にしている塾など寡聞にして知らない。これは他塾と比較して強烈な個性として光るのではないか。そして何よりも我が塾の静かで穏やかな思想にふさわしい。そう考えてすぐに実行に移した。カラー動画を白黒動画に変更するのは技術的には何の問題もない。易々と変更できる。

こういうことを堂々と公開して、軽率ではないか、とわたしは心配にならない。なぜなら以上をそのまま他塾が真似ても成功し難い精妙な思想が背景にあるからだ。

わたしは企業秘密だから公開しない、などとセコイことは言わない。デザインはコピーできても思想はコピーできないからだ。むしろ、どんどん真似てみるといいと思う。そうすれば逆に我が塾の思想がどういうものか実地に検証できるだろうとすら思っている。

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