読めて、書けて、受かる中学受験専門国語塾。
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営業時間:14:50-21:00
欠伸が出る。今朝の授業で塾生も欠伸をしていたのを思い出した。わたしは塾生の欠伸を品がないとは思わない。むしろ頑張っているな、と胸中で呟いた。机上のメモ帳を見ると今朝は四時半に起きている。今すぐ寝床へダイブしたい。
とうに夕飯は食べ終わっている。ここまで書いてきたが仕切り直すために席を立ち、冷蔵庫を開けて箱型のアイスを取り出して小さな匙で掬う。チョコアイスだ。時刻は午後7時を過ぎている。エアコンが静かに冷気を吐き出している。
ふと机の向こうの鉢植えの観葉植物に目を留めた。塾生の母親がわざわざ購入してプレゼントしてくれたものだ。鉢にはプラスチックの棒が刺してあり、その先端に小さなカードが挟んであった。カードには「暑中お見舞い申し上げます」と記してあった。カードの裏には「安眠に効きます~」とも記してあった。
パソコンからは高中正義の古い軽快な曲が流れている。扇風機が回っていてその風も心地よい。不思議な贈り物だ。むろん贈り物は嬉しい。プレゼントしたいとする心根が嬉しいではないか。それにしても暑中見舞いに観葉植物である。しかも「安眠に効きます~」とはどういう意味か。
我が塾に解読を任されたエニグマ、というと大仰か。「安眠に効きます~」という謎の一部は分かるような気がする。塾のブログに睡眠のことを何度か書いていたからだ。
それゆえ「安眠に効きます~」は一応分かるのだが、それを鉢植えとセットで贈る、となるとまるで意味が分からない。
分からないといえば、その母親がそもそも我が塾を選んでくれた理由も完全には腑に落ちていない。わたしはその親子と教室にいる時間が愉しい。母親はいつも授業を参観していた。不思議なことに少しも嫌な気持ちにならない。
観葉植物に花言葉はあったのだろうか。アロエのような見た目で、教室に馴染んでいる。この謎は母親が教師に突き付けた問題かも知れない。パソコンからはオリジナルラブのバラードが流れている。
観葉植物を贈った真意は何ですかと直接、母親に尋ねるのは野暮というものだ。むしろ、わたしが見事に謎を解いて「あなたの真意はこれでしょう」と突きつける方が小気味がいい。
「安眠に効きます~」というのは、この観葉植物の効能書きか。まさか煎じて飲むわけでもあるまい。母親は鉢植えを渡してくれたときに余計なことは喋っていない。
けれども、この観葉植物は教室のインテリアとして悪くない気がする。邪魔というのではない。役に立っているのだ。答えは母親とその子が志望校に合格した暁にはもしかしたら教えてくれるかも知れない。それまでは口を噤んでおこう。
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