映画評「フラガール」

映画「フラガール」を観ました。何度も洟をかみました。

物語は昭和四十年代の福島県の炭鉱が舞台です。今から五、六十年前の実話を基にしています。

プロのフラダンサーになるべく炭鉱の街の女性有志は皆、一生懸命に稽古に励みます。

東京から来た先生は最初、「あんたたちには一生無理だね」と決めつけます。

朴訥な田舎娘たちは懸命に稽古に明け暮れます。歯を食いしばって。

そういう確執や師弟関係もこの映画の見どころでしょう。

プロのフラダンサーの矜持というのはこうも凄いものか、と唸る場面も多々あります。

否、違いますね。女性の矜持は…、これも違う。

そうです、人間の尊厳とは、こういうものなのかと胸打たれます。

劇中で炭鉱夫役の豊川悦司が思わず「おんなは強いなあ」と漏らします。

この映画を一言で要約するならば、豊川が告白せざるを得なかったこの台詞に尽きます。

女性同士の友情の素晴らしさもこの映画のテーマの一つなのかも知れない。

男性同士の友情を女性が羨むという構図が様々な物語に散見されますね。

この映画はそういうステレオタイプを打ち壊す女性同士の友情を描いています。

女性たちの友情も男性たちの友情に比べて何の遜色があるか。

そういう気持にさせる筋立てです。

福島県の会津弁もこの映画の重要な舞台装置の一つだと思います。

会津弁を話す蒼井優はなかなか魅力的でした。

この映画で初めて蒼井優の演技を見ましたが、はまり役でした。

何よりもこの映画は実話に基づいている、というのがふるっています。

昔を生きた人々は、今のわたしたちと少しも違わない。

それをこの映画はわれわれに教えてくれます。

クローチェという学者がこう言っています。

「歴史はすべて現代史である」と。

「フラガール」の見どころはクローチェが言ったまさにその点にある、とわたしは考えます。

今を生きているという点で男も女も老いも若いも関係ありません。

皆、同時代を生きている。

常磐ハワイアンセンターにこんな物語があったとは驚きました。

なお、「フラガール」は大分前に上映された映画です。

今、観るとまた違った感想を抱くと思います。

人の尊厳は時代を超える。時代が変わっても人間の精神は少しも変わりません。

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